重大事故ゼロの世界を目指して 
失敗を活かす企業文化の重要性

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はじめに

船舶の重大事故によるインパクトは非常に大きく、人命、環境、レピュテーション、顧客の商売、ステークホルダーの信頼、アセット、賠償責任など与える影響は多岐にわたり、企業の存続をも左右しかねない。また、その状況下で矢面に立つ人の精神的な負担は計り知れない。海運業界は長年、規制やルール、技術や訓練に重点を置いてきたが、依然として重大事故のリスクが伴う。日本の船会社も例外ではなく、今なお重大事故は発生し続けている。それは何故か。今日に至るまで多くの船会社が安全運航に対し相当な努力を積み重ねてきたが、事業環境が変化する中で何か見落としていることはないか。SAYFR(セイファー)では、重大事故を防ぐには、成熟した企業文化の構築がカギだと考えている。

 

何故企業文化が重要か

企業文化とは「従業員の間で共有された、その組織特有の”根底にある”思想や行動パターン」と定義されるが、表面上は正しく見えても、その組織を動かしている支配的な考え方や行動パターン次第で、ある事象に対する反応と結果が大きく異なってくる。SAYFRでは、今まで蓄積したデータとリサーチを通じ、企業文化の成熟度と重大事故の発生率の相関が高いことが分かっており、成熟した企業文化を構築することができれば、重大事故の発生率を大幅に下げることができると考えている。ここでいう成熟した企業文化とは、従業員全員が安心して失敗を報告、共有でき、失敗は学びのチャンスとして捉えることができるカルチャーを指す。このカルチャーを構築できれば、組織として同じ失敗を繰り返すことを防ぎ、また失敗に対処しないままエスカレートして重大事故につながるのを未然に防ぐことができる。 過去の重大事故のほとんどが、原因となった失敗を現場の従業員が知りながら、問題提起および是正しなかった(できなかった)というケースであることを今一度考えなればいけない。

 

失敗を活かす企業文化を構築する方法

重要性を感じつつも、企業文化は概念的でつかみどころがなく、どこから手をつけていいのか分からない方も多いと思う。SAYFRでは、誰にでも習得可能な以下の八つのリーダーシップ行動を通じて、コラボレーションを大切にする企業文化を構築していく。

 
信頼関係を築く 信頼関係を築く
同僚の価値を認識し信頼する。たとえ同僚の行動や考え方が自分のそれと違っていても、人は善意で行動していると信じる。
 
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気にかける 気にかける
定められた役割を超えたことでも自分事として捉え、 問題の解決や失敗の対処に関わる。同僚のウェルビーイングを気にかける。
 
 
 
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受け入れる 受け入れる

自分を含め、誰もが間違いを犯す可能性があることを受け入れ、またその間違いが重大な結果を招きかねないことを認識する。同僚からのフィードバックを受け入れる心構えを持つ。

 
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学ぶ 学ぶ

常に何かを学ぶことができるという姿勢を持つ。失敗を学びの源泉として捉える。

 
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フィードバックを行う

フィードバックを行う

個人的にフィードバックを行うことで同僚の行動を理解し、感謝していることを示す。また、批判的なフィードバックを行う場合は、相手を責めず、恥ずかしい思いをさせない。
 
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声を上げる 声を上げる

何か懸念があったり、危険な状態や規則違反を目撃した場合は声を上げる。周りも同様に声を上げることができるよう、同僚を励まし、力づけ る。

 
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チームを意識する

チームを意識する

共通のゴールと共有する行動規範の実現に向けて全員が協働し、その取り組み が上手くいくように互いに助け合う。

 
 
 
 
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ジレンマと向き合う

ジレンマと向き合う

ゴール・規則・人の間で生じる矛盾やジレンマを探し出し、しっかりと対処する。

 
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デジタルツールの活用

企業文化を構築、あるいは変革するには、相当なエネルギーと時間を要する。世界中に散らばっている従業員を巻き込んで、ムーブメントを起こすのは簡単ではない。SAYFRでは、提携先であるATTENSIのデジタルプラットフォームを用い、対人関係に焦点を当てた、スマートフォンを使ったゲーミフィケーションやタブレットを使った3Dシミュレーションを活用することで、組織内に効率良く、求められる知識や行動を浸透させる方法を採用している。組織のパフォーマンスにインパクトを与えるには、退屈で「やらされている感」の強いトレーニングを、仲間と競いながら楽しく自発的に取り組めるものに変えていく必要がある。ゲーミフィケーションやシミュレーション等のデジタルプラットフォームを活用する主なメリットを以下の通り纏めた。

  • 大きな組織やフリートであっても、場所を問わず、また階級や肩書きに関わらず全従業員が同時に学ぶことができる。
  • ゲームの要素があるため、手軽に楽しみにながら取り組め、反復することで学びが定着し、行動を起こしやすくなる。
  • シミュレーションというリアルで且つ安全な環境下において失敗を体験し(肌で感じ )、その失敗から学ぶことができる。
  • 従業員の学習データを分析することで、組織として改善に向けた対策が取れる。
 
 

エンゲージメントを考える

企業文化を構築する上で欠くことのできない従業員のエンゲージメントにつき触れたい。エンゲージメントとは、組織が掲げるビジョン、ミッションやバリューに従業員が共感し、その実現に向けて自発的に貢献しようとする意欲のこと。ここでいうビジョン、ミッションとは、組織の目的(≒存在意義)や社会への貢献を表すもので、売上や利益、業界ナンバー1等のゴールとは異なる。バリューとはその組織特有の価値観や行動規範を表すもので、日々の行動や意思決定のガイドラインとなる。これらが従業員にとって明確で、腹落ちしている状態が理想だ(ホームページに載せ、ポスターを貼るだけでは浸透し ない)。そのためには、トップとリーダー層が組織の将来像を共有し、熱意を持ってビジョン、ミッションやバリューを、あらゆる機会やチャネルを活用して従業員全員に届くような形でメッセージを発信し続ける必要がある。日本企業の「熱意あふれる社員」の割合は6%と大変低く、139カ国のうち132位と最低ランクにある、という調査結果が米国ギャラップ社より発表されている。事業環境が急速に変化し、社員のニーズ、価値観の多様化やダイバーシティが進む中、優秀な社員の離職防止、社員の生産性向上、優秀な人材の確保という重要課題の解決方法として、また、理想とする企業文化を構築する上でも従業員のエンゲージメントを真剣に考える時が来ているのではないだろうか。 

おわりに

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SAYFR紹介動画

SAYFRはフィヨルドと山に囲まれた緑豊かな都市であるノルウェーのオスロに事務所を構え「人為災害ゼロの世界」をビジョンに、失敗を活かす企業文化を構築するノウハウ、ソリューション、ツール等を提供している。我々がもつインサイトや経験を共有することで重大事故を減らし、日本の海運業界の発展の一助となれば幸いだ。